ここは学校の屋上。


立入禁止の貼紙が貼られているこの場所は、普段人が立ち入る事は出来ない。
しかし、古く錆び付いた扉は、簡単に外す事が出来る。
それは学校中のほとんどの人間が知っているが、屋上には柵がなく危険な為、大半の人間はこの場所に立ち入ろうとはしない。


そんな場所にやってくるとしたら、





「…………」

屋上から下を見下ろす。

グラウンドで部活動をしている生徒や、友達と楽しそうに帰って行く生徒。
見下ろす世界は、こんなにも笑顔で溢れているというのに、ここで見下ろしている彼の表情に、笑顔はない。

下の世界は、まるで、別世界。
その世界に、おいでと手招きされているようで、その世界が、優しく包み込んでくれるような気がして、彼はまた一歩と足を前に踏み出した。








そして。










彼の体は、宙を舞い暗闇の中へと吸い込まれていった。




※主人公が報われない話です。



リゼ