「お疲れ様〜」
休日の部活。
これ程までにかったるく、面倒なものはないだろう。
少なくとも、ボクにとっては。
空は太陽と同じオレンジ色になっていて、そろそろ6時ぐらい。
「おっつかれ!!」
バンッとかなり強い力で背中を叩いてくるマネージャー。
「ねぇ、ちょっと。いい加減、背中叩くのやめてよ。痛いんだけど」
ボクは思ったことを正直に言う。
すると、マネは怯む事無く言い返してくる。
「だって猫背になってるんだもの。キミはスポーツマン。もっとシャキッとしないとね」
「でもそれって、ボクが言った事と関係ないじゃん」
「関係ありまくりだよ?」
そう言ってマネは記録用紙を持って監督の方へと行ってしまった。
「お〜い!望〜」
「何〜!!」
「今日はどうするんだ?」
「今日は行くぞ〜!」
「なら、急いで着替えろよ?!」
「了解」
ボクは急いで制服に着替え直して、外に出た。
「遅ぇよ」
体育館の入り口で座り込んでいた男共から一斉に声が発せられた。
「ゴメンって」
小さく謝った。
「ちょっと!!少しは後片付けしていきなさいよッ!!」
マネが体育館の入り口から顔を出して大声を出す。
「じゃ!後は宜しくね〜〜!!」
ボクは近くにいたヒカルに腕を掴まれて走らされた。
どんどん小さくなっていく菜月。
校門をくぐって、いつもの駄菓子屋に行く。
「また来たか」
「また来たぞー」
口の悪いバァちゃんが店をしている駄菓子屋は何となく居心地が良くて、部活が終わってから毎日に来ている。
「勝手に取るかんねー」
「ふん。金は置いていきな」
「はいはい」
それぞれ好きな物を取って、代金を支払う。
ボクとヒカルは冷蔵庫からラムネを取り出した。
全員が飲み物を持ったら、部長でもあるヒカルが、
『今日の試合、お疲れ様でした!!』
乾杯をして、ボクはラムネに口をつける。
「あぁ…。今日はマジで疲れたわ」
そう。今日は県内でも強豪校との試合だった。オールで出ていたヒカルは疲れるだろうな。
「ファインプレーが多かったね」
「でも、最後の決定点はお前に取られたしよ」
「残念でした〜〜!!」
「ウザいぞ!お前!!」
ボクの髪をグシャグシャにするヒカル。
飲み干したラムネの中に残ったビー玉。
カランと音を鳴らして、オレンジ色の光でキラキラと光った。