「こんにちは〜」
「おっす」
「みっちゃんー!いる〜?!」
「みっちゃんなら職員室に居たけど」
「マジか」
「ってか陽は?」
「陽先輩は部長会議に出席中ですよ」
「今日のメニュー、もしかすると半端無いかも」
「げっ。帰っていいッスか?」
「はい、逃げるの禁止」
「ってか思ったんだけど、最近緑楊強くね?」
「あのフリーの人のせいだよ。えっと、えっと、えーっと……」
「鈴木太朗くん」
「そう!鈴木太朗くんがめっちゃ速くなったからじゃない?」
「それ以前に、主力メンバーの実力が全体的に上がってるっしょ」
「あ〜、それね。なんでもあの『鬼島コーチ』が外部コーチで練習見てるんだとさ」
「エ?!」
「マジか?」
「それ本当?」
「太朗から聞いた。よっぽどあのコーチと緑楊の相性がいいんだろうなぁ」
「それ比べたら、ウチらとみっちゃんの相性の方が全然いいじゃん」
「俺なんてクラブに居たときに比べて1"5は軽く上がったし」
「いやウチなんて17秒だし」
「お前個メだからだろ」
「一瞬焦った〜」
「それより鍵は〜?」
「おぉ?!秋山が珍しく遅刻してない!」
「まぁね」
秋山が私を手招きする。
「今日見学する子、連れてきた」
「お前ナイス!」
「誰なの?」
「俺と同じクラスの子」
全員の視線が秋山の後ろにいた私に向けられる。
「あ。秋山知美です」
「おんなのこ〜〜!!」
「お前やるじゃん!!」
何なんだ、このテンション。
「女に餓えてるね」
「失礼しちゃう!アタシだってりっぱな女の子ですーだ!」
「お前の腕の太さを考えろ!明らかお前は女じゃねー!!」
「んだと〜?!このドーテーが!!」
「はっ?!何故その秘密を…」
私は秋山の背中をつついた。
「ん?」
「水泳部って、いつもこんな変なテンションなの?」
秋山は私から視線を外して、少し考えた。
そして、彼の口から出た言葉は。
「うん」
何か、ある意味大変な部活なんだね。