「えぇ、今から名前を呼ばれる者は返事をして起立しなさい」


また始まった薊浦の面倒な表彰式。

この時間、退屈でしょうがない。

本日5度目の大きな欠伸をした。


「水泳部、神代陽」

「はい」


後ろの方で返事が聞こえたけど、もはやどうでもいい。

この体育館に居る誰かの頭がチリチリに燃えればこの表彰式も中断になるだろうか?

壇上で賞状を受け取っている先輩は、かなりがっちりした体だ。

ちょっとだけ、萌えかも…


「えぇ、では一言」

「我々水泳部は今年も県総合優勝を果たすことが出来ました。これも皆さんの応援のおかげだと思っています。1ヶ月後に行われる関東大会、インターハイ、共に優勝をします。また応援をよろしくお願いします」


先輩が一礼すると、体育館内が歓喜の声でうねった。

まぁ、この先輩。なんでもオリンピック強化選手とからしいし。

カッコいいし、イケメンだし。

それにしてもこれまたでっかく出るねぇ。

インターハイ優勝だってさ。
その辺のこと、よく分からないや。


―ゴン―


「いた……」


私の背に寄り掛かってきたのは、コイツだ。

秋山紘平

水泳部の次期えーすとか言われてるヤツ。


「ちょっと、秋山。起きなよ」

「ん〜〜」


相変わらずよくどこでも寝られるね。

こんな先生方が前にいっぱい揃っている状況で。


「あと5分でいいから」


よく分からん。

こんなムシムシする体育館の中で引っ付かれると、こっちまで暑いんですけど。

でも、嫌じゃないんだよねぇ。

不思議だ。





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