clap
浴槽に浸かりぼんやりと天井を眺めた。腕にはジンジンと痛みが走る。こうなったのもきっと俺が知らないうちにギグァンさんを傷つけてしまったんだと思う…心当たりがないけど。
いつになく自分のことについてペラペラ喋ってしまったものだと苦笑しているといきなり肩に鋭い痛み。
「痛い」と言ってもそれは力を緩めることが無くて、むしろ段々食い込み方が酷くなってきているようだった。力の主の表情は顔が伏せられていて読めない。優しく名前を呼んでやると今度は泣き出しそうな瞳を向けられた。
「どうしてそうやって…1人で…」
「ギグァンさん?」
「家族じゃないんですか。あの人達は飾りなんですか」
「…」
「家族に、頼っちゃいけないんですか」
まるで責められているようだった。唯でさえ童顔なこの人が泣きそうにしていたら罪悪感に襲われるというのに、この顔をさせているのが自分だとはっきり自覚すればもう慌てるしかなくて。ごめんなさい、何か気に障るようなこと言っちゃいました?と聞いてみても首は横に振られた。
「家族って、自分を受け止めてもらうためにあるんじゃないんですか」
「受け止めてもらう?」
「辛いことも悲しいことも分け合って、嬉しいことも一緒に喜んでくれるのが家族じゃないんですか」
咄嗟に腕を捕まれる。
肩に加わっていた力がそのまま移動してきたものだから声を抑えられるはずもなく、若干涙目になっている気がした。
でもそれよりも辛かったのは、
「なんで1人で頑張っちゃうんですか…!」
こんなに優しいギグァンさんを泣かせてしまったことだ。
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