愛しい、
2012/02/18 Sat 17:57
大学生設定
レムシェレム
※ネガティブレムレス
※変態レムレス
※誘い受けレムレス
※肌色雰囲気注意
おK?
「勝負、あったね」
「…、」
「約束守ってもらうからね?」
全ての原因はどうでもいいような痴話喧嘩だった。
*
大学に通うため独り暮らしを始めようと決心したは良いものの、都心部だったために家賃はどこも高く、1人でやっていくには数ヶ月で破産しかねない金額に頭を抱えていたのがきっかけだった。
そりゃ、学生だから親にすがって生活っていうのも仕方ないかもしれない。でも親離れというか、甘えなくないという個人的な我が儘と自身のプライドはそれを許さなかった。かと言って誰かに頼る宛もなく不動産で交渉しようと思っていたところだ。彼にあったのは。
彼も自分と同じ理由で不動産に訪れていたようだった。相手からしたら傍迷惑な話だ。面倒事が2つに増えるのだ。っていう訳にもいかないわけで。
「ならお兄さん、一緒にルームシェアしませんか?」
「は?」
言ってしまえば、逆ナン。それでも僕には持ってこいの話だったのだ。お金の負担が少しでも楽になれば。
意気投合するのは時間の問題だったと思う。何せ、彼と自分の抱える問題は同じなのだから。
気づけばあれよあれよ事が運び、彼とはルームメート。
それから。
それから。
*
痴話喧嘩の原因なんて覚えてない。それぐらいどうでも良い内容だったと思う。僕にとっては。
売られた喧嘩とか面倒な事この上ない事。だからいつも上手く流していた。のに。今回は上手くいかないどころか、余計絡まって、悪化して、勝負事をすることになっていた。
その時は自分も頭に血が登って周りなんて見えてなかった。彼が十分に悔やめば良いとか、反省しろとかそういう事ばっか考えていた。勿論勝負は僕の勝ち。相手に勝ちを譲る優しさなんて持ってない。特に彼は。彼だけは。
あんな事言った彼だけは…!
*
約束とはとっても簡単な事。
「お触り厳禁」
これだけ。
罰とかそういうものに値しないとか思われると思われけど、実際はかなり効果テキメンだったりする。というのも、彼が異常に接点を求めてくるからだ。例えば、寛いでいるときとか。構って欲しいとか言って来るときとか。他にも…。そういう時に必ず彼は何かしら触ってくる。意識しすぎじゃないか、とか言われるかもしれないけど、僕からしたらあんな風にベタベタ触ってくる方が変だと思う。変態故なのかはよく知らないけど。もしかしたら彼は無自覚かもしれない。けど、僕はそういう変な彼のくせとかを知っている。伊達に彼と一緒にいるわけじゃない。
一緒に、いたいと思っているわけじゃない。
無自覚ならば約束も無視してしまうのでは、という疑問にも達するかもしれない。が、面白いことに彼は律儀である。先生とかの言った事をしっかりと守ってしまうような意外とイイコちゃんなのである。
つまり彼は言いつけはキチンと守るのだ。そうしようとする動作があっても寸前のところでやめるような人なのだ。欲望より理性が勝るというか、変に固いというか…まぁ、面白い人だとは思う。
つまりは面白いのだ。
彼が悔しそうに顔を歪めたり、何か訴えるような瞳でこっちを見たり、拗ねたりする。たまに待ちを食らった犬のような可哀想な顔をもしていた。この前は…いや、よしとこうか。彼のプライド(笑)のために。
ね、面白いでしょ?
僕?勿論、僕は全無視だ。なにくわぬ顔でいつも通りに。ご機嫌とか取るわけがない。お仕置きにならない。
勝者は勝者。敗者はその人に合った罰がないと示しがつかないでしょ。
楽しいと思う。
彼を虐めるのは。
楽しいと、思う。
思ってた。
最初のうちは。
*
「うーん。」
今日は大学がお休み。僕の方は、だけど。
シェゾ君はいつも通りの時間に出ていった。最近サークルの方が盛り上がっているらしくて遅くまでやっているとか。てなわけで、顔を合わせる時間が減ったなぁ、と思う。
仕方ないかもしれないけど、寂しく思ってしまうのは単に人肌が寂しいせいなのか、惚れた弱みなのか。よくわからない。
最近思うようになったのは、僕あんまり人に触れないなぁ、と思った。他人にお菓子を配ったりするのは好きだけど触れる事までは少ないと思う。性分なのか、自分から誰かに近づこうとしなかった。誰かとの間に線を引いてはその線越しに誰かと関わっていた、気がする。だから他人との関係は薄っぺらい。広く浅く。そんな関係を作り続けていることに気づいた、と思う。確信はあんまりないけど。
そんな中で彼は特別だったんじゃないか、と思った。まぁ、彼が土足で線の内側に入って来たとも言えなくもないが。でも、それを許したのは自分で、あくまで受け入れている時点で彼は特別なんだろう。もし、知らない誰かがこのテリトリーに踏み入れたら僕は嫌悪を剥き出しにするだろう。それぐらい自分の中を荒らされるのは好きじゃない。
でも、この前。
彼は自分のテリトリーから出ていった。僕が追い出したようなものだけど。彼は律儀だから、身体的だくではなく、精神的にも距離を置くようになった。多分、自身の抑制も含むためだと思う。だって彼は口下手で、口より体が動くような人だから。余計な事をしないためなんだろう。まぁ、それすらも自覚しているのは謎だが。
彼が僕のテリトリーから出ていったせいか、何か物足りなくなってきたと思い始めたのはつい先日。距離感がいつもより大きくなった気がしてなんだか寂しくなってしまったのだ。彼が離れてしまったみたいだ。本当に離れてしまったのかもしれないけど。
いつから僕は彼に依存していたんだろうか?
空いた空間は埋まらない。時間はそれを許しはしなかった。その空間の寂しさを抱きながら僕は思った。
今まで1人でいてもこんな気持ちにはならなかった。
1人でいることに苦痛など感じなかった。
本当はもう離れてしまったんだろうか。
会わない時間が彼との距離を作ってしまった気がする。
変に繕った見栄がまさかこんな事になるなんて。
本当はただの意地だった。
彼が諦めて、約束なんてもの破って欲しいとか、そういう単純な。
律儀とかそういう建前を彼が捨てた姿が欲しかっただけ。
それが、仇になって…、
きっと、こんな自分じゃ。
*
「起きたか。」
「…、れ」
「いつからそこで寝ていたんだ?」
パチリと目を覚ました先は少し薄暗く、少し肌寒かった。声がした方に顔を向けると彼は台所に立っていた。そこで、「あ、夜」なんて思って重たい瞼で時計へと目をやった。8時すぎ、だった。
「いつ、帰って来たの?」
「ついさっき。それより体冷やしてないか?」
「…大丈夫、多分。」
「多分ってお前…。」
重たい体をおこし、改めて背を伸ばす。ボンヤリとする頭は覚醒しなくてどこかフラフラする。あのあと少し泣いたせいかもしれない。頭、痛い。
「うぅー…。」
「本当に大丈夫かよ。」
台所からこちらに向かって歩いてきた彼がこちらに手を伸ばした。でも、予想通り彼の手はピタリと止まった。つくづくその性分は面白い。んで、彼らしい、なんて思う。それからそれが切なくなった。
「…ねぇ、」
「何だよ。」
「そんなに嫌?」
「何が。」
「僕に触れるの。」
彼がまたピッタリと止まる。彼の手だけでなく、彼の全身が。
彼の瞳が小さく揺らぐのが見えた。
「何言って……、だいたいお前が触るな言ったんだろ。」
「うん。言ったね。」
「…触れないのはお前のせいだろ。」
「…うん。」
言った。
言ったけど、そうじゃない。そうして欲しいとは、本心では思ってない。
思って、いないよ。
スルリ、と誘われるように彼の腰に腕を絡ませる。何だかんだで引き締まった彼の体。僕にはない、体。
大きく息を吸い込むと彼の匂いがした。洗剤と彼の体臭。石鹸の匂い。それからほんのりと汗の匂い。
ほぅ、と息を吐き出すと彼の体はビクリと大きく震えた。細すぎず太すぎない彼の腰をゆっくりと撫であげる。チラリと見えた彼の肌が目に焼き付いていく。
嗚呼、
「や、やめろ!レムレス!」
「、しぇぞ、」
「そうやって俺を楽しんで、「、たい」………は、」
「しぇぞ、したいよ」
欲情
からの暗転。
*
「俺は謝らない。」
「わかってるよ。」
誘ったの、自分だから。
ぎゅうぎゅうと抱きつく彼に身動き何かとれない。多分、口先では言わないが、彼なりの反省の仕方なのかもしれない。まぁ、僕もこの感覚を愛しく思ってしまうのだから何も文句はない。
彼の温度を感じたのは随分と久しいと思った。肌と肌が直接密着する感覚も、全部懐かしく思ってしまう。
全ては自分の無恥故に。
「、悪い。」
「…?何かあったの?」
「…お前から避けていた気がして。」
「………自覚あったの?」
「一応、な。………今日もサークルが長引いたとか、本当は嘘。」
「…嘘、」
「ずっとサタンのところにいた」
「な、んで?」
「お前と一緒にいたら触りたくて仕方ないんだ。」
先程より弱まった腕がまた強く抱きしめられる。
熱が、次第に高くなっているような。
心臓が、
「無自覚じゃ、なかったんだ。」
「何が?」
「………なんでもない。」
彼の行動全てが彼の意志の上であったなんて、考えただけで、
嗚呼、もう
このうるさい心臓止まれよ
馬鹿野郎
愛しい、
(全ては深愛故に)
*
恥ずかしい\(^q^)/
なんだコイツら爆発しろ
前々から書いていたものを完成させてみた
時間が空いたので文体が微妙に違ったらごめんなさい
お粗末様でした
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