たとえ愛情がなくても
 2012/02/18 Sat 18:40

※現パロ
※グロ表現あり
※後々、病みも

暗い


シェ♀レム
シェゾが先生で♀レムが学生







それは、一本の電話から変わったのだ。


まだ暑さが残る9月の初め。顔に汗がじんわりとたまり、ベタつく体に嫌悪感が残る。まだ7時前だけど外は明るい。休みボケが抜けてない生徒の気だるそうな顔を横目に職員室の扉を開いた。

「あ、シェゾ!…今帰り?」

「あぁ…ったく、用もないのに学校に残りやがって…」

「久しぶりに友達に会った子もいるだよー…積もる話があるんだね」

「良いなぁ…ガクセイは」

「僕たちはもう大人ってやつだもんねー」


クスクスと笑う同僚のアルルは憎めないキャラとして沢山の生徒や先生たちに好かれている。そういう俺は所謂、弄られキャラってやつだ。おかげで生徒からは授業中にあらぬ質問や発言をされるのはもう決まりきった事だし、先生方との話の中でも無理難題を押し付けられたりして遊ばれたりしたことは数えられない。まぁ、自分がまだ経験も時間も全然足りてない卵ってこともあるんだろう。所詮自分は新人ってやつだ。



「そういえばさっきの電話…仕事の事?」

「いや、プライベート…だが?」


「恋人か?お前も隅に置けないなぁ」

「げ、」


振り替える先にはニタニタ、という音が合う顔をしたサタンがこちらに向かって歩いてくる。同僚のアルルにスキンシップならぬ、セクハラ発言をする事実はこの学校では常識となっている。しかもこの男、この学校の校長という…現実とは時たま、思いもよらない事実を見せつける。
ってかオッサンいくつだよ。

「シェゾ恋人いたの!?」

「…っと、だな」

「いかにも手出すの早そうって顔してるからな…実はもうするとこまでしてるんじゃないか」

「…オイ、どういう意味だ」

「そのままの意味さ…変態シェゾくん」

「変態じゃねぇ!」

「シェゾの恋人かぁ…すっごい美人ってイメージあるなぁ」

「……可愛い…けどさ」

「はは、のろけ入りましたぁ」

「殺るか?」

「見てみたいなぁ…今度写メか何か送ってね!」

「…、気が向いたら」

両手を上げて喜ぶアルルを見て、先ほどの電話の事が横切った。
電話なんてそうそうしない彼女からの内容は何とも簡潔した内容だった。

"今すぐ会いたい。
話したい事があるの。"

いつもより細い声で言った内容は少し頼りなく、弱々しかった。
自分はまだ仕事中だし、自分より随分と年下の彼女の事だ。ガキの用事なんて大したことないだろう。それに彼女のほうが時間が沢山あるんだから自分に時間を合わせて欲しい。そんなわがままから、今度時間作るから、と言い訳するように言って切った。自分はなんとつまらない男だな、なんて思った。


「で、内容は?」

「…は?」

「電話の内容。私がお前ののろけを聞いてやろう。」

「…結構だ。」

「僕も聞きたいなぁ」

「…」

「アルルも言っているんだ。さぁ、その内容、晒せ。」

「いちいち言い方がムカつくな。」
「サタンはちょっと言い過ぎなんだよ…シェゾ気にしたら負けだよ」

「あ、あぁ………いや…普通に会いたい、って言う電話が…」

「…わぁ、愛されてるなぁ」

「…………話したい事がある、からって…」

「…ぶふっ、…振られる前兆か?」
「一回殴らせろ、サタン」

「だが断る」

「喧嘩しないでよ」

本当はサタンみたいな考えもよぎった。でも、信じたくなかった。彼女が自分を捨てて違うところに行くとか考えたくなかった。
多分、いや、本当は嫌な予感ってのを感じた故の逃げから断ったのだと思う。明らかに自分が後悔しそうな話の振り方だった。でも、それが現実なら受け止めるべき、たのだろう。
彼女が子供で、自分が大人なら尚更…自分が彼女のために成せる事をするべきなんだろう。

外は日が沈み、空に闇が訪れている最中だった。夏にはない少しひんやりとした空気をシャツの下から感じながら車の鍵を握る。

行き先は、勿論、










*



「おーい、来たぞぉ」

ガチャリ、と音を立てて開けた扉は少し錆びていてキィ、と甲高い悲鳴をあげる。そんな聞きなれた音の先は薄暗い玄関だった。
嫌な、予感が走った。

「レムレスー…?」

靴をゆっくり脱いで嫌に冷たいフローリングの上を歩く。
空気が冷たい。窓でも開いているのだろうか。
薄暗い廊下を進み、リビングに繋がる扉に手をかける。

この嫌な感じはなんなのだろうか。



「レム…?」

ぬるり、

と足から染み込んでいく感覚。


暗いからよく見えないが、何か湿ったものを上から踏んだような。いや、でも、まさか。

震える手でリビングの明かりをつける電源に手を伸ばす。
カチリ、と小さくなった音に少し遅れてついた電気は少し暗い。
窓は大きく開けられていて、カーテンが踊るようにたなびいている。

その先には、細く少し青白い腕と落ち着いた色をした灰色の髪。
対称的にベッタリと床を塗らす赤。

赤い、







自分の足元を見ると血が点々と床に散らばっていた。













それからはよく覚えてない。

気づけば白く隔離されたような部屋のベッドに横たわる彼女をただ他人事のように見ている自分だった。


*

続く

テーマは大人と子供
後々ヤンデレ表現があるので注意


H23.08.31...作成
H24.02.18...訂正




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