ふたりはラブラブ!
ああ、久しぶり。そっちの主は元気?いやそのくらいの情報持ってるけどさ。挨拶ってやつ。
団子食べる?…そんな嫌そうな顔すんなよ。これうちの旦那用のだから。毒なんか入ってないない。
…あ、それ、自信作。粉から作ったの。
いやーなんでも出来ちゃうと困るよねー。武術の手合わせに、屋敷の修繕。この間なんか西の峠にある茶屋の団子は、佐助のよりうまいらしい!って夜更けに呼びつけるからこっちも大変だよ。
俺様をなんだと思ってるんだろうね。
一応年頃なんだから、少しは落ち着いてほしいもんだ。
…あの人がまだ本当に「姫様」だった頃にさ。「弁は大きくなったら佐助をめとるぞ!」なんて言ってたんだよ。
あの頃は可愛かったなあ。
……うん。
ただの忍びにはもったいない。つーか無理だろ。その辺取り違えたりはしないよー。俺様優秀だからね。
まあ給料はいいとは言えないけどさ。旦那も大将も人は良いし。結構、楽しいよ。
「…、助!佐助ーー!」
あーあー、またあんな薄着で出歩いて…腹冷やすって言ってんのに。
……へ?おめでとう?何が?…ああ、旦那の声がでかくなってきた。悪いけどまた今度聞くよ。
じゃ、行ってきますか。
「佐助ー、佐助、…さすけえええええええええ!!!!」
「はいはいはい!俺様ならここですよ!」
「そこにおったか佐助!!おおお館様がっ、某と、挙げてもよいと!申されて、」
「…頼むから落ち着いて喋ってくんない?」
興奮して要領を得ない主の口に団子を放り込むと、素直にもぐもぐと咀嚼する。
よく噛め、って子供の頃からの習慣で、食べてる時だけは静かなんだよね。
「……うまい」
「よかったね。…で、大将がどうしたって?」
「ああそうであった!俺も祝言をしてもよい頃合だろうと、言われたのだが」
「…、へえ、遂にねえ」
そっか。おめでとう、ってそういう事ね。武人とはいえ、この人も真田の血を引く姫様だ。
覚悟はしてたけどやっぱり悔しい。さっき昔の話なんかしたから余計に。
ふつつかものですが、とか言うのかな。うっわあ似合わない。
「まあ、頑張って下さいよ。あんたは俺の自慢のお姫さまなんだからさ」
「うむ!不束者ではあるが、よろしくお頼み申す!」
地面に頭ぶっさす勢いで旦那が頭を下げた。
あれ、なんで俺に向かって三つ指ついてんの。なに、忘れたのかって?
…約束?
ちょっと待って、子供の時の話だろ、って……そりゃ、お姫さんは、かわいい、けど!
(大将、あんた、何考えてんだよ!)
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10/01.24
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