the melancholic
2012年12月21日
世界は終わるという
終末論とは、歴史には終わりがあり、それが歴史そのものの目的でもあるという考え方
この世に永遠など存在しない
目的とは何だろう?
私がこの世に生まれたことに、目的などあるのだろうか?
2012年12月21日
今日で世界が終わるというのに、その日はいつもと変わらぬ朝を向かえ、いつもと同じように時間を刻んでいく
悲しくなどない
例え世界が終わりを告げようとも
後悔はない
この世に生まれ落ちたその時から、私はこの命に終わりが来るその日を、ずっと待ち望んでいた
この世の絶望を、ずっとこの目に焼き付けてきた
この世界が終わる
やっと、憂鬱な朝を向かえずに済む
頬をつたう涙とも、怒りや憎しみの連鎖、この世の全ての悪と、やっとさよならが出来る
2012年12月21日
時は来た。
私はその日を、穏やかな気持ちで迎え入れ、静かに目を閉じ、ゆっくりと呼吸をした
分からない
何故だろう、世界の終わりを夢見れば見るほど
瞼の裏側に、あの人の姿が浮かぶのだ
あの人の笑顔が、あの人の優しい声が、あの人の孤独や悲しみが
瞼の裏側に焼き付いて離れない
きっと今頃、部屋でお茶でも飲みながらテレビを見てくつろいでいるであろうあの人
2012年12月21日
この世界が終わるその前に、どうしてもあなたに逢いたくて
部屋を跳び出し、走り出した
どうかお願い、間に合いますように
この世界が終わる前に、あなたに逢えますように、その笑顔が見れますように、その声が聞けますように
あの人の傍に居られれば其れだけで良くて、他には何も望みません
あの人が笑顔で居られますように、あの人の孤独や悲しみが癒えますように
私ならどうなったって構いません、あの人が幸せに暮らせる為なら、何だってします
どうかお願い、この世界よ、もう少しだけ終わらずに居て
あの人の幸福が、永遠に終わりませんように
あの人を守る為に、あの人に出会う為に、私はきっと、この世に生を受けたのだから
2012年12月21日
「どうしたんです?こんな時間に?」
「………」
「何かあったんですか?」
「………」
「とりあえず、中に入って下さい、あたたかいココアでもいれますから、さぁどうぞ」
「八戒」
「ん?」
「八戒は、ずっと、ここに居るよね?」
「へ?」
「………」
2012年12月22日
世界が終わる日、それはいつもと変わらぬ様に始まり、いつもと同じように幕を下ろした
「ずっと、居るよね?」
「ずっと、居ますよ、ちゃんと居ます、ずっと此処に居ます」
「いつでも、逢えるよね?」
「えぇ、勿論です」
あなたが優しく笑うから、私は思わず、涙を零した
この世界は終わり、そしてまた始まる。