トーキョーイミテーション
東京は狭い。
今日もまた、日が昇り、そして沈んで行く
一日24時間、街を何歩、歩くのだろう
この狭い街で、一日何人の人間とすれ違うのだろう
人は皆、苦しみや悲しみを抱えて生きているということは百も承知だけれど
街を歩き、周りの人間を見渡せば、どうしてこんなにも自分だけが苦しみ悲しんでいるかの様な、自分だけが独りきりかの様な、そんな過剰な自意識を抱いてしまうのか
誰がどれだけ苦しみ悲しんでいるのかは知らないけれど
此処に居る僕はどうだろう、僕以上に、この漠然とした不安を抱えて生きている人が居るとすれば今すぐに名乗り出て来て欲しい
東京は狭い。
この狭い箱の中に詰め込まれた人間達は、社会の歯車となり日々苦しみ悲しみを費やている
この狭い、東京の街で
いつか出逢う、あなたへ
僕の苦しみと悲しみを共有し、互いにこの街の歯車から抜け出してくれるあなたへ
機械では無く人として生かしてくれるあなたの手を取り、僕はその手を決して放しはしないだろう
いつか出逢うあなたと、今日もスクランブル交差点にて同じ空間を支配する
すれ違う度に、あなたの瞳はいつも僕を呼ぶ
いつも僕を、ここから抜け出そうと誘い出す
いつか出逢う、あなたへ
この太陽が沈むまで、僕が僕でなくなるまで、もう少しだけ待っていて下さい
その時が来たなら、僕はあなたをさらってこの世界に復讐を、あの太陽に罰を、
僕とあなたに嘘を上げる
あなたの手を、決して放しはしないから
この広い東京の街で、あなたに出逢えたことが偶然であり、それが必然であるのなら
望み通り、全てを終わらせ、あなたに愛していると伝えたい。