※逆トリ/半兵衛



「ねー、まだー?」

「んー、もうすぐ出来るよ」


只今、三時のオヤツを製作中。
誰の為?もちろんワガママ軍師の為である。


「わらび餅食べたーい」

……なんて言い出した半兵衛を、面倒だから嫌だと一蹴してみたのだけど、夕餉は俺が作るからーとか言いながらお願いされた。

え?半兵衛のご飯とか気になる!…なんてうっかり思ってしまった私は、結局今わらび餅を作っている。


「ほーんと良い世だよね、ここは。食べたい物がすぐに食べられるし、布団も気持ち良くて寝心地サイコーだし」

「いや、その食べたい物を作ってるのは私であって、私はそれなりに苦労もしてるからね?」


キッチンの扉にもたれかかっている半兵衛があくびしながらボヤく。
そりゃあ、君は基本的に寝てるものね。
まぁ、手伝ってはくれてるけど……

そういえば、半兵衛が現れて結構経つんだなぁ。

……あ!

いい事思いついちゃった。








「お待たせ!わらび餅出来たよー。あと、雪見大福もあるから一緒に食べよう」

「やった!じゃあ、縁側で食べよー」



「はい、半兵衛、あーん……」

「急にどしたの?……あー…」


縁側に並んで座ると、私は笑顔で半兵衛にわらび餅を食べさせてあげた。怪訝な顔をされたけど、とりあえずパクリと食べた半兵衛。

よしっ!


「……どう?」

「うま……!!ケホッ!辛ッ!!」

「あはは!唐辛子入りでしたー!今日は一年に一回嘘をついてもいい日なんだよ」

「ケホッ!ケホッ!なっ、なんだよそれ!」

「ワガママのお返しってとこかな。ま、辛いのはその一つだけだからっ……!!!?」

「……何、その顔。辛いモノには甘い口直しがいいんだよ。知らないの?」

「いや、それは知ってるけど……なんで私?」

「だって、さっき雪見大福食べてたでしょ?」

ちゃんと甘くて口直しになったし…なんて笑ってる半兵衛は、やっぱりわらび餅は甘くないとねーとパクパクお餅を頬張っている。

いやいやいやいや……


口直しにいきなり

人の唇舐める

って何!!?


襟元持たれた時、一瞬怒られるかと思ってドキッとしたのに!それ以上にドキッとしたじゃないか!!


「あ。さっき俺が夕餉作るって言ったのも嘘だから」

「はぁ!?それ、絶対後付けじゃん!」




……そんな4月1日。




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