\ピザカレー煮/
2014.06.14 Sat 10:54
2のネタなんて今時の若い子は分からないよね。拍手コメでピザとカレーの文字をみて蝶子さん思い出した事故。
さて、耐え切れなくなったのでこっそりステイ文を落書きる。ここを眺めている人は多分5人以下だろうけど、そういう日もある。大丈夫。
「待ってくれ忠勝!そんなに心配しなくても大丈夫だ」
「――――――!」
「安静にしなくてもこのぐらいならすぐに治る。ほら、もう指は動くんだ、いつもと変わらない」
「――――\\\__―!!」
「しかしだなぁ……」
肩に担がれた青年がいくら抗議しようと、鋼を纏った大男は聞く耳を持たなかった。
右肩には青年を、左腕には大きな、本来なら背にかける籠をこじんまりとぶら下げて空を飛ぶ。
こっ、こっ、こげぇー、とさらに小さな籠に詰められた鶏が悲鳴を上げても当然の様に大男、本多忠勝は気にしない。
「しかも三河で1番の卵産みまで連れて来て……。飼育している小屋の主が嘆くぞ」
「―――――――」
誰が貴方に捧げる事に否やを唱えるというのか。
いいから旅館で目一杯食べて治して欲しいと言わんばかりの大男に、青年……徳川家康はため息をついた。
「分かった、分かったから。ただし三日だけだ、十日も休めない。今回の戦の処理すらワシは手掛けていない。……なに?酒井達にでも任せておけって?流石にそれは駄目だろう」
暴風が吹き荒れているはずの肩で平然と二人は話し続ける。
ほんの小一時間も無かっただろう。あっという間に目的地にたどり着いた二人は、見た目に似合わずふわりと着地した。
三日だけ!三日だけ世話になる、と日付を強調しながら開けた旅館の扉は。
見慣れた、ありふれない筈の洋間へと道を繋げた。
「三日もどうしたって?ってうおおお!?なんで怪我!?」
「あー、いや、めぐみ殿、すまない」
見慣れた部屋には、いつも彼に食事を提供してくれる小柄な女性がうろたえている。今回繋がったのは間違いなんだ、と首を振る家康。
この状態では普段以上に迷惑がかかると、道よ閉じよと願をかけながら宿の扉に手をかけた家康をひょいと持ち上げた忠勝。
「………へ?」
一体何が、と音を漏らしたのは女性の方だった。彼女の側からは、おそらく忠勝の胸の鉄板しか見えない。
「待て忠勝!」
怪我が原因でいうことのきかない体をよじる間もなく家康は洋間に押し込まれ、間髪入れず忠勝は左手の籠をその隣に下ろした。
深々、とお辞儀を一つ。
「――――――――っ!」
「え……?」
スパン、と勢いよく閉まる襖。茫然とその襖を見つめる家康。
「まて忠勝!めぐみ殿にそこまで迷惑は……!」
慌てて閉じられた襖を開いても、目に映るのは半透明の衣装が入った箱に、折目正しく畳まれた布団と下げられた着物。
「は、はははは……」 「え、何今の。ガン○ム?ガ○ダムなの?」
「忠勝!ただかーつ!」
「ガン○ムがあああああああ!?」
佐藤めぐみ宅は、しばらく混乱が収まりそうになかった。
―――ごげぇ、こっこっ、コケェー!
ここから出してくれと、雌鶏の怒りの鳴き声がアパートに響く。
「………三日間、よろしく頼む、済まない」
「………どういうことなの」
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