「彼奴……」
ライドウの涙に、少なからず……というか、思い切り動揺した。
なんだ、この気持ちは……
悶々とした頭を抱えていると、業斗が入ってきた。
「彼方の十四代目を泣かしたんだって?」
おそらくゴウトから事の顛末を聞いたのであろう、その声には多分に面白がっている様が滲んでいた。
「わ、我が泣かしたのではないっ」
彼奴が勝手に泣いたのだ、そう口では言いながらもかなり気にしているようだった。
「何時もみたいに、謝ってやれば満足するんじゃないのか」
「だが、泣いたのだぞ。彼の十四代目が……」
謝るだけではすまないと思っているのか何なのか、「我は悪くない……、はず……」などとまた頭を抱えだした。
本当は雷堂だってもう仲直りしてしまいたいのだ。
直ぐに喧嘩になってしまうのも、些細な事でむきになる己が悪いとも言えるのだ。
解っていながらも、素直になれない。
まだまだ餓鬼だなあ、と業斗は鼻を鳴らした。