がつん、と何かが壁に当たる。
ゴウトは、物が当たらぬよう書棚の上に避難しながらはらはらしていた。
何しろ、仲直りしないうちからまた喧嘩が始まるのは初めてのことだったからである。
業斗は気にしていないのか、さっさと外に出てしまった。
今日の発端はライドウが雷堂をいきなり蹴りつける所から始まった。
「……貴様、殺すぞ」
とうとう飛び出たその言葉に、ライドウは口の端をつり上げた。
「上等です。出来るものならどうぞ殺ってごらんなさい」
よく手入れした刀まで持ち出した二人に、ゴウトが声をかける。
「おい、二人とも止めろ」
華麗にその言葉を無視して、刃を交わす。
少しでも力を抜けば斬られる――
一歩も退かなかった命懸けの喧嘩だったが。
「どうして……、何時も……」
ふいに呟いたライドウの瞳から、ほろりと涙が零れた。
え、と雷堂が驚き、力を抜いたその瞬間。
「もう、もう……雷堂なんて知りません!好きにしたら良いでしょう!」
ガッと雷堂の刀を弾いて、叫んだついでに、腹に足で一撃を加えて外に飛び出してしまった。
「じゅ、十四代目……」
腹を抑えながら呻くように呟いた雷堂は驚きの余り動けずにいた。