「ライドウ、おまえ、雷堂と話していないようだが」
そうなのだ。
先日の喧嘩以来、二人は話すことすらせず、顔を合わせるのも成るべく避けているようであった。
何時も喧嘩した後は、先に頭が冷えた雷堂の方から謝ることが多い。
または、素直に謝ることができないライドウがすり寄っていって仲直りする。
それが、今回はどうしたことだろうと、流石のゴウトも心配になった。
「知りません、其のようなことは。大体、喧嘩なんていつもの事でしょう」
つい、とそっぽを向いて刀の手入れを始めてしまった。
下手なことを口にすると、ライドウはその刀を持ち出してなにか仕出かしそうで怖かったので、ゴウトは黙って部屋から出た。