構成
「……雷堂」
ふとハヤシライスを盛り付ける手を止め、ぼんやりライドウは呟いた。
「如何した」
雷堂は味噌汁の味見をし、我ながら良くできたという独り言と共に返事をした。
「貴方、此方の世界に来てからは僕と同じ物を食べていますよね」
「其れが如何した」
早く味噌汁を盛ってくれ、と椀を渡す。
ライドウは其れを大切そうに両手で受け取り「……という事は、今僕達は同じ物で構成されているのですね」と喜色ばんだ。
そうしてつい、と横を見やると、其処には苦虫を噛み潰した様な雷堂の顔が有った。
「何故そんな顔をするんですか!」
雷堂はう、と呻いて一言。
「貴様、其れは流石に……流石に、気色悪いぞ……」
其れに切れたライドウが先に口を出し手を出し、やはり雷堂が応戦し、食事はまだかと鳴海が顔を出す頃にはハヤシライスも味噌汁もすっかり冷えていた。
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