『…できた!』




今日は恋する女の子達の日。
バレンタインデー。

もちろん私も恋する女の子の一人であり、丁度チョコを作り終えた所です。
でも…料理とかしたことないから、ちゃんとうまく作れているかが不安なんだけどね…。









「何をしているのだ？」

『っきゃあ!ワ、ワイズリー…えっと…』

「甘い香りに誘われて来てみたら…お菓子作りかの？」

『え…あ、まぁ…そんな感じ？』




いきなりのワイズリーの登場に、危うく作ったケーキを落としてしまいそうになった。
せっかく作ったのに落としちゃうなんて嫌だ。
それに、このケーキはワイズリーの為に作ったんだし…。






「…うまそうだのぅ…。それにしても、おぬしが料理なんて珍しいではないか。」

『え…そうかな？』

「うむ、今日は何か特別な日だったか？」





問い掛けられて何も言えなくなってしまった。
今、バレンタインデーだってチョコ渡した方が良いのかな？
でも、フラれちゃったらどうしよう…。





「む、今日はバレンタインデーではないか!おぬし…それ、誰にあげるのだ？」

『え…』




予想外にも当てられてしまったから思考が止まる。
あ…私、今絶対顔赤い。





「もしや…ティキにか…？」



そう告げるワイズリーの表情が、何だか一瞬だけ悲しげに見えたような気がした。





『ち、違うよ!ティキにじゃなくて…ワイズリーに作ったの…』

「…え…？」

『私が好きなのは、ワイズ…っ…』





そう言い切る前に、私はワイズリーの胸の中に閉じ込められた。




『ワ、ワイズリー…？』

「…良かった、ティキにあげると言ったら頭が狂ってしまう所だった。このケーキはワタシだけの物じゃ。もちろん…おぬしもな、」




得意気に笑みを浮かべながらケーキを一口食べるワイズリーに、もっともっと好きになったような気がした。



「うむ、美味いのぅ…最高じゃ。」











（君の愛が沢山詰まったチョコケーキ）
（これは誰にも渡せない）












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