†OATH†ゆあ様より
頂きました!!



はんぶんこ/ICHI様



「さっぶいぃぃ…」

「うっさいわねぇ。本読んでたんじゃないわけ?」

雪が降るオルニオンの街
みんな「雪だ、雪だ!!」って大騒ぎして出ていってあたしとおっさんは居残り組

あたしの本を「そんなに一生懸命読むっつーことは、面白いことでも書いてあんでしょー」ってやたらニヤニヤしながら言って読み始めたはずのおっさんは寒い寒いって騒ぎながら両手を必死で擦り合わせて毛布を被ってる

「で?読めたわけ?」

「エアルがどーのこーのしてマナがうんたらかんたらで「全然わかってないじゃない!!やっぱりあんたに貸したのが間違いだったわ。返して」

「いやいや、おっさんは本より面白いものを一生懸命読んでるんだなぁ」

両手を擦り合わせながらニヤニヤ笑って胡座をかいた膝に乗せた本を見るおっさん

なに?
あれはおっさんの心臓魔導器にも関係あることだから、ちょっとは勉強しろってことであの本貸したってだけで何の面白いことも書いてないはず

おっさんがやたらニヤニヤしながら読んでるから気になって近寄ったらおっさんはにこにこ笑ってあたしを手招きして「隣どうぞ」って言うから隣に座って本を覗き込む

「なに?」

「ふせん。"おっさんの心臓はこれを応用したもの"とか"おっさんが苦しむのはこれが原因"とか。おっさんのことばっか書いてあんのねーと思って。愛されてるわぁ」

「なっ、ば、馬鹿じゃないの!!?あたしはあんたなんか――」

「ん?」

言いかけた言葉を飲み込んで一瞬触れたおっさんの手を握りしめる

「な、なになに?照れちゃうじゃないのー」

「冷たい…」

「ああ、寒いと異常に冷たくなんのよねぇ」

「…おっさん本貸して」

「?」

「いいから」

「は、はいはい」

渡された本を開いておっさんの胡座をかいた足の上に座って上を見上げた
そこにはビックリした表情のおっさんの顔があって急に恥ずかしくなったから勢いよく下を向く

「あ、あったかくなるでしょ。寒い寒いってうっさいのよ」

「リタっち可愛い!!」

「うっさい!!離しなさいよ!!」

「シートベルトは着用せんとね」

「何よそれ…。まあ、いいわ。今から勉強よ。あたしが一つ一つ解説してあげるから、自分の心臓のことぐらい覚えなさい」

「へいへい。リタせんせ」

お腹に回された少し冷たい腕が動く度に緊張しながら術式とかエアルの影響を説明してるってのに幸せそうに笑うおっさんに「ちゃんと聞きなさいよ!!」って言うあたしも…きっと、多分だけど、幸せなんだと思う

あったかさはんぶんこ
幸せもはんぶんこ

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